会社をつくった方へ

領収書、
取っておけば大丈夫?

会社を設立して1か月。
領収書は、財布やカバンの中に
溜まり始めていると思います。

「とりあえず全部取ってあります」
と言われることが多いのですが、
実は、領収書は「取っておけばいい」
ものではなくなっています。

取っておく形を間違えると、
あとで経費として認められなかったり、
消費税の計算で損をしたりします。

このページでは、設立直後の会社が
最低限おさえておきたい、
領収書と請求書の残し方をまとめます。

一紙とデータで、残し方が違う

いまの会社の支払いは、
紙の領収書とデータの領収書が
半々くらいです。

コンビニや飲食店でもらう紙のレシート。
ネットの月額サービスのPDFの領収書。
メールで届く請求書。

このうち、データで受け取ったものは、
データのまま保存することが
法律で求められています。
印刷して紙で綴じておく方法は、
原則として認められません。

「メールで届いた請求書を印刷して
ファイルに綴じている」という会社は、
いまでも多くあります。
設立直後にこの習慣をつくらないことが、
いちばん簡単な対策です。

二消費税の計算に、領収書の「中身」が関係する

インボイス制度の話です。

会社が払った消費税を、
売上で預かった消費税から差し引くには、
相手が発行した領収書や請求書に
登録番号(Tから始まる13桁)が
書かれている必要があります。

登録番号がない領収書は、
支払った消費税の全額を
差し引くことができません。

いまは経過措置で、登録番号がなくても
支払った消費税の8割を差し引けます。
ただしこの8割は2026年9月30日までで、
10月からは7割に下がります。

その後も、2028年10月から5割、
2030年10月から3割、
2031年10月以降は差し引けなくなります。
(割合は、受け取った日で決まります)

緩やかですが、方向は変わっていません。
登録番号のない領収書は、
年を追うごとに会社の負担を増やします。
同じ1万円の領収書でも、
登録番号のあるなしで会社の負担が変わる。
「何が書いてあるか」が
問題になる時代です。

なお、会社を設立したばかりで
消費税の免税事業者のままであれば、
この影響は当面ありません。
簡易課税を選んだ場合も、
支払った側の登録番号は
納税額に影響しません。

2割特例の終わりと、そのあとの計算方法は
設立後、最初の1年に来るものの
インボイスの章もあわせてどうぞ。

三紙の領収書は、置き場所を1か所に

財布から出した領収書を入れる場所を、
1か所決めます。
封筒でも、クリアファイルでも、
100円ショップの箱でも構いません。
月ごとに分けておくと、
あとで探すときに楽です。

会計ソフトのスマホアプリで撮影して
取り込む方法もあります。
ただし設立直後は、撮影と原本保管を
両方やっておくほうが安全です。
慣れてから減らせばいい。

保存期間は原則7年です。
赤字が出た年度の書類は、
それより長く必要になることがあります。
「捨てるタイミング」は
税理士に確認してから、
と覚えておいてください。

四データの領収書は、印刷せずにフォルダへ

メールで届いた請求書、PDFの領収書、
ネットサービスの購入明細。
これらは印刷せず、
データのまま保存します。

方法はシンプルで構いません。

パソコンかクラウドストレージに
「2026年」「09月」のような
フォルダをつくる。
ファイル名は「日付_相手_金額」の形に。
訂正・削除のルールを決めて、
中身を変更しない。
(国税庁のサンプルにある
「事務処理規程」を使えば十分です)

会計ソフトに直接アップロードして
取引と紐づける方法が、
最終的にはいちばん楽です。
ただ、会計ソフトをまだ決めていないなら、
フォルダに入れておくだけで十分です。
あとから取り込めます。

五領収書をもらうとき、「登録番号」を見る

領収書を受け取ったら、
「T」から始まる番号があるかを見ます。
それだけです。

登録番号のない領収書が多い取引先は、
使う頻度が高いなら、
登録番号のある別の店やサービスに
切り替える判断もあります。
すべてを厳密に管理する必要はなく、
「金額が大きいもの」「毎月発生するもの」
から見ていけば足ります。

電車やバスなど3万円未満の公共交通機関、
自動販売機での購入などは、
インボイスがなくても差し引ける例外です。

さらに、設立直後の会社のように
2年前の売上が1億円以下なら、
税込1万円未満の支払いは
登録番号がなくても差し引けます。
(少額特例。2029年9月30日まで)
登録番号を見るのは、
1万円以上の支払いからで足ります。

六自社が出す請求書も、同じルールで

会社がインボイス発行事業者として
登録している場合、発行する請求書に
登録番号、税率ごとの金額、消費税額を
書く必要があります。

会計ソフトや請求書ソフトを使えば、
ひな形が自動でこの形になっています。
手書きやExcelでつくる場合は、
記載事項が足りていないことが
よくあります。

発行した請求書の控えも、
受け取った領収書と同じ期間、
保存が必要です。

七よくある質問

領収書ではなくレシートでも大丈夫?

レシートで問題ありません。
むしろ、店名・日付・品目・金額が
印字されているレシートのほうが、
手書きの領収書より証拠として強いです。

領収書をもらい忘れました。

クレジットカードの利用明細や
銀行の振込記録があれば、
日付・相手・金額は証明できます。
品目や目的をメモした「支払証明書」を
自分でつくって添えておけば、
経費として扱える場合が多いです。
ただし常態化すると説明が難しくなるので、
あくまで例外として。

宛名は会社名でないとダメ?

宛名が「上様」や空欄でも、
直ちに経費が否認される
わけではありません。
ただ、金額が大きいものは
会社名で受け取るようにしてください。

「この領収書は経費になるか」
「うちは免税でいいのか」
小さな疑問こそ、
設立直後に聞いてください。

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