インボイスの経過措置
2026年9月17日 公開・最終確認 / 令和8年度税制改正の内容で書いています
登録番号(T+13桁)のない相手から
仕入れたときの経過措置が、
令和8年(2026年)10月1日に
切り替わります。
9月30日までの仕入れは80%。
10月1日からの仕入れは70%。
当初は50%に下がる予定でしたが、
令和8年度の税制改正で
70%に見直されました。
では、9月に始まって
10月に終わる取引はどちらか。
答えは、
請求書の日付でも、払った日でもなく、
物を受け取った日、
サービスが終わった日で決まります。
このページでは、その当てはめと
帳簿の書き方を順に整理します。
まず、全体の日程です。
改正前と改正後を並べます。
| 期間 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 令和5年10月1日〜 令和8年9月30日 | 80% | 80%(変更なし) |
| 令和8年10月1日〜 令和10年9月30日 | 50% | 70% |
| 令和10年10月1日〜 令和11年9月30日 | 50% | 50% |
| 令和11年10月1日〜 令和12年9月30日 | 0% | 50% |
| 令和12年10月1日〜 令和13年9月30日 | 0% | 30% |
| 令和13年10月1日〜 | 0% | 0% |
西暦では、令和8年=2026年、令和10年=2028年、令和13年=2031年。
出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」。
つまり、下がり方がなだらかになり、
終わりが2年延びました。
直近の変化は、
80%から70%への1段だけです。
どちらの割合を使うかは、
課税仕入れを行った日で決まります。
課税仕入れを行った日とは、
物なら引渡しを受けた日、
サービスなら
提供が全部終わった日です。
(消費税法基本通達11-3-1)
請求書の日付、
請求書が届いた日、
代金を払った日。
どれも判定には使いません。
「10月に払ったから70%」
「9月に請求書が来たから80%」
という判断は、
どちらも根拠になりません。
よくある形を並べます。
★は国税庁が同じ形の事例で
答えを示しているものです。
| 取引 | 判定する日 | 割合 |
|---|---|---|
| 商品が9月28日に届き、請求書は10月5日付 | 9月28日(受け取った日) | 80% |
| ★9月21日に始まった作業が10月20日に完了、10月31日に支払い | 10月20日(終わった日) | 70% |
| 9月分の月額利用料を10月に請求・支払い | 9月30日(9月分が終わった日) | 80% |
| ★1年分の保守料を令和8年1月に前払い(短期前払費用の特例) | 支払った日 | 全額80% |
| 1年分の保守料を令和8年11月に前払い(短期前払費用の特例) | 支払った日 | 全額70% |
| 9月に手付金を払い、10月に引渡し | 引渡しの日 | 70% |
| 9月21日〜10月20日締めの請求書(納品が複数) | 明細ごとの納品日 | 分ける |
月額利用料は、契約が月ごとに区切られている場合の考え方です。
短期前払費用の特例(法人税基本通達2-2-14など)を使っていない前払いは、
サービスを受けた時点で判定します。
いちばん迷うのは、
締め日が月の途中の請求書です。
1枚の請求書でも、
9月30日までに受け取った分と
10月1日以降の分は、
明細ごとに分けて入力します。
仕入先に頼めるなら、
今回だけ9月30日で一度締めてもらうと、
あとの作業がずっと楽になります。
短期前払費用は例外です。
1年以内の前払いで特例を使うと、
課税仕入れは払った日の扱いになり、
10月をまたぐ期間の分も含めて、
払った日の割合で全額を計算できます。
(消費税法基本通達11-3-8)
経過措置を使うには、帳簿に
経過措置の対象である旨を
書いておく必要があります。
これまで「80%控除対象」と
書いていたところに、
10月1日以降は「70%控除対象」と
書きます。
「※は80%控除対象」
「☆は70%控除対象」のように、
記号で分けて表示する方法でも
構いません。
会計ソフトを使っているなら、
税区分を80%用と70%用で分ける
のがいちばん確実です。
10月1日の取引から切り替わるように、
月末までに設定を確認してください。
受け取る請求書のほうは、
これまでと同じです。
日付・相手・内容・金額などが
書かれたものを保存します。
税込110,000円(標準税率10%)の
仕入れで考えます。
含まれている消費税は10,000円です。
| 差し引ける額 | 差し引けない額 | |
|---|---|---|
| 登録番号あり | 10,000円 | 0円 |
| 80%控除(9月30日まで) | 8,000円 | 2,000円 |
| 70%控除(10月1日から) | 7,000円 | 3,000円 |
国税と地方税を合わせた概算です。実際の計算は国税部分(7.8/110)で行います。
1件あたりでは1,000円の差です。
毎月の外注費や家賃のように
続く取引ほど、
年間では大きくなります。
なお、簡易課税や2割特例で
申告している場合は、
仕入れの相手が登録しているかどうかは
納める税額に影響しません。
この切り替えも関係ありません。
同じ改正で、
上限も変わりました。
1つの相手(登録していない事業者)
からの仕入れが、
1年(1事業年度)で税込1億円を
超えると、超えた部分には
経過措置が使えません。
改正前は10億円でした。
この1億円は、
令和8年10月1日以後に始まる
課税期間から適用されます。
10月1日の取引から、
ではありません。
| 事業者 | 最初に適用される期間 |
|---|---|
| 個人事業者 | 令和9年分(2027年1月〜) |
| 3月決算の法人 | 令和9年4月に始まる事業年度 |
| 9月決算の法人 | 令和8年10月に始まる事業年度 |
| 12月決算の法人 | 令和9年1月に始まる事業年度 |
1億円は、個人は1年、法人は1事業年度で数えます。
1つの相手から1億円を超えて
仕入れることは多くありませんが、
外注先がひとつに集中している会社は
一度確認しておいてください。
9月中に受け取った物や、
9月中に終わったサービスの分なら、
80%です。
届いた日は関係ありません。
大丈夫です。
入力した日ではなく、
取引の日で判定します。
税区分を80%のまま入力してください。
登録の効力が生じた日以降の取引は、
経過措置ではなく、
通常どおり全額を差し引けます。
登録番号の載った請求書を
受け取ってください。
原則は、工事が全部終わって
引渡しを受けた日です。
部分ごとに引渡しを受ける契約なら、
その部分ごとに判定します。
契約書の内容で変わるので、
金額が大きいものは個別に確認を。
このページは、次の資料を
2026年9月17日に確認して書いています。
改正の内容が変わったときは、
このページも更新します。
一次資料に書かれていない当てはめ
(月額利用料、手付金、
月の途中の締め日など)は、
通達の考え方から私が整理したものです。
実際の取引は、契約の中身で
結論が変わることがあります。
「この取引は80%か70%か」
「税区分の設定はこれでいいか」
9月の締めの前に、
聞いてください。
追加したあと、気になることを
ひとこと送ってください。
営業日中に、私からお返事します。
まだ決まっていなければ、
追加だけでも構いません。
顧問はまだ早い。
でも、聞ける相手はほしい。
そういう段階のための窓口です。
質問の回数は数えません。
インボイスや消費税の計算のご相談は、
顧問契約の前でも受けています。
二営業日以内に、私から返信します。