相続の事例 一
2026年10月11日 公開 / 令和8年4月1日現在の法令で書いています
実際のご相談をもとに、
家族構成や数字を変えています。
相続の相談で、
いちばん多く聞かれるのが
「実家をどうしたらいいか」です。
売るのは、なんだか申し訳ない。
貸せば、お金になるかもしれない。
とりあえず、そのままにしておこうか。
気持ちは、よく分かります。
ただ、3つの道は
税金も、かかるお金も、
ずいぶん違います。
税理士で、宅建試験にも合格している
私なら、こう考えます。
父がひとりで住んでいた実家。
母は先に亡くなっています。
相続人は、姉と弟の2人です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実家 | 昭和55年に建てた木造。 土地は約50坪 |
| 売った場合の見込み | 土地として 1,500万円ほど |
| 買った値段 | 書類が残っていない |
| 姉 | 県外で賃貸住まい。 持ち家はない |
| 弟 | 金沢市内に持ち家あり。 実家の近く |
| ほかの財産 | 預金など。全体で 相続税がかかる額 |
姉は「売ってもいい」。
弟は「近いし、
貸すか、置いておくか」。
意見がまとまらず、
申告期限が近づいていました。
道は3つです。
どれも「できる」のですが、
それぞれに税金と、
出ていくお金がついてきます。
そこを数字にしてから、
決めるのがいいと思います。
結論から書きます。
私なら、売ります。
ただし、姉が相続して、
申告期限のあとに売ります。
理由は3つです。
昭和56年5月31日より前に建てた家で、
親がひとりで住んでいた。
この実家は、
「空き家の3,000万円控除」の
要件に当てはまります。
家を取り壊して、
相続から3年後の年末までに売れば、
利益から3,000万円まで引けます。
この事例なら、
売ったときの税金は0円です。
ただ、この特例は、
一度でも貸すと使えません。
「貸してから売る」は、
いちばん損な順番になります。
姉は持ち家がありません。
要件を満たせば、
いわゆる「家なき子」として
小規模宅地等の特例が使え、
土地の評価を80%下げられます。
弟は持ち家があり、
父と同居もしていません。
弟が相続すると、この特例は
使えません。
ただし、この特例は
申告期限まで土地を持ち続ける
ことが条件です。
だから「申告期限のあと」に
売ります。
住まない家を持ち続けると、
固定資産税と、
草刈りや通風などの管理が
毎年かかります。
入ってくるお金はありません。
それに、放っておいて
市から「管理不全空家」の
勧告を受けると、
固定資産税を安くしている
住宅用地の特例が外れます。
土地の税額が、
最大で6倍近くになります。
売る期限も過ぎれば、
空き家の特例も使えなくなります。
「とりあえず」で持つのは、
いちばん不利な道だと思います。
貸すなら、築45年の家に
水回りや屋根の修繕が要ります。
見積もりは300万円ほど。
家賃は月5万円が目安です。
家賃から固定資産税や保険料を引いた
残りが「不動産所得」として、
毎年の所得税と住民税の対象です。
修繕費を取り戻すのに、
8年から10年かかります。
そして、貸した時点で
空き家の3,000万円控除は消えます。
あとで売ると、
利益に20.315%の税金がかかります。
弟が「近いから管理できる」と
言うのは分かります。
でも、借り手がつかない時期や
退去のたびの修繕まで含めると、
この家で貸すのは、
割に合わないと思いました。
「いつか使うかもしれない」
という理由で置いておく家は、
たいてい、そのまま10年たちます。
その間、出ていくのは
お金と、家の価値です。
持つなら「何年後に誰が使う」が
決まっているときだけ。
決まっていないなら、
私は持たない道をすすめます。
3つの道を、
10年の目線で並べます。
数字は分かりやすく置いたものです。
| 売る | 貸す | 持つ | |
|---|---|---|---|
| 最初に | 取り壊し 200万円 | 修繕 300万円 | 0円 |
| 入る | 1,500万円 | 家賃 600万円 | 0円 |
| 売る税 | 0円 | 約250万円 | 約250万円 |
| 毎年 | なし | 税・保険・ 修繕 | 税・管理 |
| 10年後 | 約1,300万円 | 古い家と 家賃の残り | 古い家と 費用の累計 |
売る:売った金額1,500万円から、取得費(5%)75万円と取り壊し・仲介の費用200万円を引いた利益1,225万円に、空き家の3,000万円控除を使い、税金0円としています。
貸す・持つ:空き家の特例を使えずに売った場合、同じ利益1,225万円に20.315%で約250万円としています。
貸す場合の家賃は、空室がないものとして月5万円×12か月×10年です。実際には空室や修繕があります。
「貸す」は、10年で家賃600万円が
入ってきますが、
修繕300万円と毎年の費用、
あとで売るときの税金を引くと、
「売る」に届きません。
そのうえ、手間と空室の不安が
ずっと続きます。
この事例は「売る」でした。
でも、答えは家ごとに違います。
弟の子どもが数年後に
住む予定がある。
駅に近く、貸せば月10万円になる。
そういう家なら、
貸す・持つが答えになることも
あります。
大事なのは、
気持ちで決める前に、
数字を一度並べてみることです。
それから、気持ちで決めればいい。
私はそう思っています。
石川県内の土地なら、
売るときの見込み額を
親しい不動産会社に
聞くところまでお手伝いできます。
このページは、次の資料を
2026年10月11日に確認して書いています。
比較表の数字(取り壊し200万円、
修繕300万円、家賃月5万円など)は、
分かりやすくするために置いたものです。
実際の額は家と土地で変わります。
「うちの実家は、どの道がいいか」
家の建った年、誰が住んでいたか、
相続する人に持ち家があるか。
それだけ分かれば、見当はつきます。
追加したあと、気になることを
ひとこと送ってください。
営業日中に、私からお返事します。
まだ決まっていなければ、
追加だけでも構いません。
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